症状固定後の治療費を加害者に請求できるケース
1 症状固定後の治療費は原則として対象外
交通事故に遭い治療を続けていると、ある時点で「症状固定」と判断されることがあります。
「症状固定」とは、これ以上治療を続けても大きな改善が見込めない状態を指します。
つまり、後遺症が残ってしまう段階のことです。
損害賠償の対象となる治療費は、元の健康な状態に戻すために必要かつ妥当な治療費に限られます。
症状固定に達したあとの治療は、体を改善させるものではなく、維持や対症療法にとどまるケースが多いです。
そのため、症状固定後にかかった治療費については、原則として加害者への損害賠償請求は認められません。
2 例外的に認められる場合もある
ただし、すべての場合において対象外になるわけではありません。
症状固定後であっても、現在の症状が悪化しないように維持するために必要な治療費については、例外的に損害賠償の対象として認められることがあります。
たとえば、腰椎圧迫骨折で後遺障害を負った主婦が、症状固定後も継続した通院治療が必要とされ、平均余命まで1か月あたり3万円の治療費と交通費が認められた裁判例があります(大阪地裁平成12年8月29日判決)。
また、てんかんの後遺障害を負った被害者が、発作を予防するための脳波測定やMRI検査が必要とされ、平均余命まで24年間分として289万円の治療費が認められた裁判例があります(東京地裁平成7年10月31日判決)。
このように、例外的に認められるケースは存在しますが、基本的には症状固定後の治療費は損害賠償の対象とならないと考えられています。
裁判で認められるのはあくまで特殊な事情がある場合に限られるため、請求が難しいのが実情です。
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